こんにちは。中小企業診断士Mです。
コロナ危機に関するニュースが連日報道されていますが、日に日に深刻度は増すばかりです。筆者もビジネスでいろいろな経済・金融危機を経験してきましたが、今回の危機は次元が違うように感じています。大不況に突入するのではないかと心配する論者もいます。いまは混乱期にあり、企業が生き残るために、どうしても目先の対応(特に、資金繰りの確保)に走らざるを得ませんが、資金繰りが何とか落ち着けば、経営立て直しのために次にどうするのかを考えねばなりません。しんどい局面が待ち受けています。
経営を立て直すことを、「会社再建」「企業再生」「ターンアラウンド」など様々な言い方がありますが、専門家の間では「事業再生」と呼ぶのが通例です。因みに、民事再生法は、「当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ること」(第一条)を法の目的としています。
リーマンショックから現在のコロナ危機が起こるまでの12年間、景気は緩やかに回復を続け、クレジット環境は落ち着いていました。倒産件数も減少傾向を辿り(一方で廃業件数は増加)、事業再生案件も減少し続けました。その間、経営コンサルタントや金融機関職員のなかで、事業再生を手掛けた人材もどんどん減少していきました。コンサル会社では、事業再生分野が下火となり、M&A、事業承継、IPOなどの分野へと人員をシフトしていきました。平時が長かったので、有事を経験した人材が不足しているのです。いま「医療崩壊」が懸念されていますが、同様のことが経済面でも起こると予想します。企業から経営支援の要請や相談があっても、的確にサポートできる専門家・金融機関の手が回らなくことが危惧されます。
事業再生のオーソドックスなプロセスは、概ね以下の通りです。実務的なお話は別の機会に書いていきたいと思います。
① 資金繰りの確保・安定化
② 経営診断(デューデリジェンス)
③ 関係当事者間の経営課題共有
④ 事業計画の策定
⑤ 事業計画の実行およびモニタリング
いずれにせよ事業再生業務は高い経験値が求められるため、信頼できる専門家へ相談することが必要です。