社長の金庫番

中小企業診断士の資格を持つ経営コンサルタントMがお金にまつわる知識や情報を発信していきます

資金繰り表

 こんにちは。中小企業診断士Mです。

 

 前回、資金繰りの確保が重要だと申し上げました。頭ではわかっていても、足元の資金繰りがどうなっているのか、把握していない社長さんも多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 

 そこで、資金繰り表の作成をお薦めします。資金繰り表のフォームに決まりはありませんが、例えば日本政策金融公庫が公開しているフォーム(添付URL)を使用してもいいと思います。

   https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_chusho.html

   https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/sikinguri_rei170801.pdf

 

 ここでポイントとなるのが、保守的に、言い換えると厳しめに(出金は漏れなく、入金は堅めに)、資金繰り表を作成することです。つまり、支出は固定費等予め決まったものが多く予測しやすいのですが、収入は時期がヅレたり、予定していた入金が入ってこなかったりするケースもあり、厳しめに見積もる必要があります。楽観的に収入を見積もると、後であわてることになります。ワーストシナリオを用意するのです。

 

 資金繰り表を作成した結果、いつまで手元の現預金が持ちこたえるのか、あと3カ月なのか、6カ月なのか、1年なのか、見通しが立ちます。Xday(資金ショートする日)を逆算して、残された時間で実行できる打ち手を考えていくのです。入金を前倒しにする、支出を後倒しにする、コストを削減する、資産を売却する、金融機関から新規調達する、あるいは返済猶予を頼む等々、まずは資金繰りを確保することが優先されます。

 

 添付しました日本政策金融公庫のフォームのように、資金繰り表は、「経常収支」「経常外収支」「財務収支」の3段構造になっています。この中で一番重要なのは「経常収支」です。これは事業活動そのものの収支であり、ここをプラスに、少なくとも均衡に持って行ければ、本業は黒字になり、企業存続の見通しが立ちやすくなります。経常外収支では投資抑制や資産売却でコントロールできますし、財務収支では金融機関からの資金調達や返済猶予(リスケジュール)が交渉しやすくなります。

 

「利益は意見、キャッシュは事実」(Profit is a matter of opinion, cash is a fact)という格言があります。これは、利益は適用される会計基準や会社の主張によって増減するが、キャッシュは金庫や通帳に入っていて誰がどう見ようと変わらないという意味です。会社を潰さないために、キャッシュの動きを直視しなければなりません。